3202人が本棚に入れています
本棚に追加
沖田は悲鳴が聞こえた方へ向かっていた。
〈あの悲鳴はただ事ではありませんね……〉
急がなければと、沖田はさらに走るスピードを上げた。
やがて風に乗って漂ってくる微かな血の臭い。
沖田はその臭いに微かに顔をしかめる。
そして、目の前には大通りに出る道。
この道を行けば、松原通りという広い道に出る。
ここまで分かれ道はなかった。
そして沖田は真っ直ぐに進んで、松原通りに出る。
平日なら大勢の人が行き交う通り、しかし日が沈んだ今は人通りはなく静かで不気味だった。
血の臭いが濃くなっている……。
この辺だと判断した沖田は立ち止まり、辺りを見渡した。
そして、沖田はあるモノを発見する。
血塗れでうつ伏せに倒れている三人の人……。
土の地面に大量の血が染み込んでいて、夜でもわかるほどその血に濡れた土の部分は黒く染まっていた。
そして、倒れている人たちは、全員刀を握り締めていたが、一目で死んでいるとわかった。
それは、二人は首と胴体が斬り離されていて、三人目は少し離れた場所に倒れていて、心臓がある部分に刀が刺さっていたのだから………
*
最初のコメントを投稿しよう!