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満月をバックに倒れている三人の死体の中、唯一立っているのは、沖田から見たらまだ、子供に見えた。
年頃でいうならそう……10歳か11歳位の……少年。
満月の明るさのお陰で、沖田は少年の顔をはっきり見ることができた。
老人のように真っ白な髪を無造作に束ね、顔立ちは整っている。
まだ、幼さがあるので可愛いという言葉の方が似合うが、後10年も経てば美丈夫になるだろう。
そして、動きやすい黒っぽい袴を着ていた。
少年の顔には返り血がついていて、この少年が三人を殺したのは明白だった。
沖田は、少年に見とれていた。
〈こんな子供が人殺しを……?
しかも、三人も……〉
まだ、10歳ほどの子供が大人三人を殺したという事実が沖田にとって信じられないのだ。
少年は、まだ沖田に気づいておらず、ゆっくりと胸に刀が刺さった死体に近づき、刀の柄を掴むと無造作に死体から刀を抜き取った。
ズチャ……
という生々しい音が、沖田の耳にも聞こえる。
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