出会い

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【園・前半】 フードを深くかぶっていたため、男か女かはわからなかった。 少し遠慮がちに酒場の扉を押すと、 『ギギイ』という音がして、体が少し跳ねた。 「?」 手をかけた扉を一度見て、不思議な顔をする。 そんなに強く押した覚えはない。 「??」 進むと、マスターが訝しげな顔をして、一言、 「お客様、まだ開店しておりません。」 と言った。 「あの」 声音は高く、柔らかい。 フードの中身が女だとわかり、 マスターはちらりと少女を見た。 「お嬢さん、ここはあなたの来る所じゃない、帰りなさい。」 少女はむっとする。 額がぶつかりそうなくらい詰め寄って、 きっ、とマスターを睨む。 「どういう意味ですか。・・・女じゃ旅なんか出来ないと?」 マスターは、気弱そうな外見に裏切られ、「あ、いや・・・」と口ごもった。 バーンッ!・・・・・バキ またしても勢いよく開けられた扉は、最後の悲鳴を上げて、半分に割れた。 マスターが「はあ」と、額に手を当てる。 「マスター!!また相棒に逃げられた! せっかく、すごく骨のありそうな賞金首見つけたのに!! それがたかが国家反逆者だからって、尻込みしやがってー!!」 ふと言葉をとめて「ん?」と扉を見る。 「あれ?マスター!このドア壊れてるよ。 だめだめだなあ、お客さん減っちゃうよー?」 マスターの眉が、 不機嫌そうにぴくり、と動いた。 勢いよく入ってきたのは女だった。 見りゃわかる。 女は、平均的な成人女性より、 出るところがでまくり、 あるべきところに無駄な脂肪が一切ない。 しかも、隠す気あんのか、 と突っ込みをいれたくなるほど、短いスカートから伸びる足。 歴戦の後は見えるが、 すらっと長く、 「色っぽい」もしくは「エロイ」としか言い様のないものだった。
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