出会い

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【ルカ】 「…ぶっ!! ……あはははは!! 何この2人? 超おもしろいんだけど!!」 女は腹をかかえ、カウンターをバンバンと叩きながら哄笑した。 マスターと少女…そして少年は、その様子をただただ呆然と見ていた。  数十分後。 「…クク……ふ…クク……」 いまだに笑っている女を横目に、 マスターは少女をカウンターの隅に座らせ、茶を出した。 「で? あなたはどうしてこの酒場に?」 グラスを磨きながらそう問うと、 少女はマスターの目をまっすぐ見て 「だって、ここは仲介してくれるんでしょ?」 と「でしょ?」の部分は少しでも可愛く見せるため、 首を傾げながら聞いた。 …例え、言った本人が、 (……うわっ! 何このぶりっこ! 気持ち悪……) と思っていたとしても……。 もっともその動作は少女本人が思っているほど気持ち悪くなく、 むしろ少しはにかんだ様子がマスターの心を鷲掴みにしていたのは、ここだけの秘密である。  危うく射抜かれそうになったマスターだが、 そこは長年培った精神力で平常心を保ち 「おじょうさん、ここは酒場ですよ? お客さんにお酒を提供する店。 なにゆえ『仲介』など? そもそも、おじょうさんのような年頃の娘さんが来るような所ではありませんよ。 さあ、そのお茶を飲んだら、 お帰りなさい。」 と少女を追い出そうとした。 が、少女は負けなかった。 「ふ~ん……じゃ、なんでこの男の人はいいんですか? 見たところ私と年は変わらなそうですが?」 と少年を指さしながら言った。 「…………へ?」 少年は不思議そうな顔をして、マスターと少女を見た。image=307966713.jpg
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