異常人間、現る

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でも、気のせいだろう。 テレビ画面に映った場所が、たまたま僕の通う学校の通学路だったから、そういう感じがしたのだ。 本当にその場所なのかどうかは、この町の名前が出た時にやっと確信を持てた。 父さんも新聞を読むのを中断してテレビ画面を見ている。 「危ないな」 父さんの独り言に、僕は頷いた。 電柱の柱は脆くて折れた訳ではないらしい。 真相は不明とされていたけれど、なぜか僕はそれが誰かの仕業のように思えた。 確信はないけど。 朝食を済ませた後、学校までの通学路を通った。 折れた電柱の場所で、数人の警察が調査をしている。 僕が気にかける必要もないので、通り過ぎようとした。 だけれど、なぜか、僕は足を止めてしまう。 そして、首を横に回して、折れた電柱を見つめる。 なぜだろうか。 やっぱり、僕はこの景色をつい最近にも見た気がする。 景色というか、折れた電柱を見た気がするのだ。 こんな物、僕は過去に一度も見た事はないはずだし、ほとんどの人が見る事もないはず。 「君、邪魔だよ」 警察官の男性に怒られた。 僕はもう一度だけ電柱を見て、その場を去る。 僕の思考に矛盾が生じ、それは違和感となって脳内に残った。
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