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紹介が遅れた。
僕は清原和樹(きよはらかずき)。
相模学園高等部、一年二組の生徒だ。
食堂で昼飯を食べていた時、そいつは僕の向かいの席にやって来た。
僕の顔を見てニヤニヤしてる。
こいつは元友達の名倉浩志(なぐらひろし)。
ある出来事がきっかけで、三年前に縁を切った。
「相変わらず一人で居るんやなぁ」
「悪いか? それより、あまり話しかけないでくれ。僕は他人との接触を絶ったんだから」
今の僕に、友達と呼べる人は一人もいない。
三年前に名倉と縁を切ってから、もう友達は作らないと自分で決めた。
自分から他人に話しかける事もしなくなったし、向こうから話しかけてきても、ほとんど無視して過ごしてきた。
その結果、ありがたい事に、この三年間、まったく友達を作らずに、学園生活を送れている。
なのに名倉の奴は、こうしてたまに話しかけてくるのだ。
本当に迷惑極まりない。
僕と妹の人生を台無しにした奴がいる。
そいつが目の前にいる名倉だ。
「かづっち、元気か?」
「…………」
「清原香月(きよはらかづき)ちゃん」
妹の名を名倉が口にした時、僕は思いきりテーブルを叩いていた。
騒々しい食堂が静まり返る。
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