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マンションの階段をかけ降りると
下でしゃがんでタバコ吸っとるヤツがいた
「……井本?」
返事は無いけど…
絶対井本や
俺がアイツを見間違える訳ない
やっと見つけた…
「おい、井本…」
『……なんじゃ』
井本は全くこっちを見ようとはしない
「俺ーッ『酔っとったんやろ!?分かってるから!』
俺の言葉に被せるようにして井本が叫んだ
「違っ…『もうええやろが!俺もう忘れるから!』
「井本!聞けやッ!」
俺が大声を出すとアイツはビクッと肩を震わせた
「俺ビビりやから
情けない男やから
酔ってるって言って誤魔化そうとした…
でもお前の言う通り
誤魔化せる訳ないよな…
だからホンマの事言う
俺…
俺…
井本が…」
一度言葉を止めて
深く息を吸い込んだ
俺の想いを君に届けよう――
「お前が好きや」
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