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「すげぇ…生の楽屋だ」
「ヒノちゃん、ホントにアレを見せて良いの?」
「お前、アイツを仲間にするのがRe:setの目的なんだろ?だったら見せんのが1番に決まってんだろうが」
「わかった。上手くいけば良いんだけどな~」
洋一が部屋を見て感嘆している間、森泉とヒノちゃんはパイプ椅子に向かい合わせで座り、二人でコソコソと話しだす。それから森泉は少し不安げな顔をして、テーブルの側に置いてあった自分の鞄からファイルを取り出すと、それをテーブルに広げて置いた。
「おい、兼城くん。ぼーっとしてねぇでこっちに来て座れよ。ファイル、見たくねぇのか?」
「あ、み、見ます」
ヒノちゃんに呼ばれて洋一は我に返ると、彼の隣に座り広げられたファイルを見た。
一枚のファイルに洋一自身の詳細が事細かに書かれている。年齢や身長に血液型、日本新記録を出してからの姿までも。そして気になるのは、“Re:setとして迎え入れる価値有り”という一文。
「“リセッ…ト”って、何だよ?声優のボーカルユニット?」
「違うぞ。声優までは当たってるけど、ボーカルユニットじゃない」
「え?じゃあ、何なんですか?コレ」
返ってきた森泉の言葉に洋一は、訝しげに彼を見てファイルに書かれている“Re:set”の文字を指差した。
森泉がニコリとしたまま、笑っていない目でじっと洋一を見つめ、ゆっくりと口を開く。
「今から聞いてその話を信じてくれるんなら、話してあげる。ホントに信じてくれるんならな」
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