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今までと違う。これが森泉さんか?さっきの楽天さが、まるで無い。
洋一はこの空気の変わりように生唾をごくりと飲み込むと、森泉を見つめたまま黙って頷いた。すると森泉は優しく微笑み、ファイルを見て話し出した。
「“Reset[リセット]”と書いて“Re:set[レセット]”。これは裏で極秘に活動する七人で構成された組織であり、それぞれの個性に合わせた特殊な道具を用いて犯罪率を下げる存在だ。
勿論、起こりそうな犯罪は未然に防ぎ、犯罪を起こした者は逃げないように捕獲し、改心させて自首をさせたりしている。
そして第一の特徴に、Re:setは皆、声優という表の仕事を持っている。今の俺のように。
そう、俺はその中の一人、Re:set No.1《ワン》。CODE:SHINZEN。全ての障壁を打ち砕く、突破口のRe:setなんだ。
これで信じてもらえるかな?洋一くん」
「……まだ何か信じられないですけど」
「そりゃそうだわな」
話の内容に洋一は難しそうな顔をして呟くと、隣に座っていたヒノちゃんは、同意するように頷いて頭の後ろで両手を組み、背もたれに寄り掛かって天井を見上げた。
「なぁ、兼城くん。Re:setがホントにいるかどうか信じられないんなら、Re:setの本部を見たらどうだ?このファイルも、単なる作りものじゃねぇってことが見て理解出来るだろうし、森泉が言ってることもホントのことだって解る筈だ」
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