物語の“歯車《ギア》”が動き出した

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  「アンタ、これで今までの悪さが帳消しされるとか思うなよ?ていうか、これで信じるとかホントガキ。笑えるくらいに腹立つぜ」  男は(わら)ったまま彼の胸ぐらを掴み、強引にその場に立たせると、彼の顔に自分の顔を近付けた。  彼の全身を恐怖が駆け抜けていき、膝がガクガクと震え出す。 「俺の嫉妬が治まるまで、アンタのそのムカつく面、ボッコボコのぐっちゃぐちゃにして、とことんブチのめしてやる。それまで軽く付き合ってもらうぜ」 「お、おま、ヒーローじゃない……。こんなのヒーローじゃねぇよ!?」  彼は恐怖で震える声で男に言った。  すると、男は竹刀で彼の頬を強く叩くと、右足で彼の肩を蹴り、そのまま硬いアスファルトの地面へと突き倒した。 「この状況で、よくそんな事を言うもんだ。バカだからしょうがねぇだろうけど。  何なら、一つだけ言ってやる。俺は犯罪を減らす世間の優しいヒーロー。Re:setのSYUSEIだ。アンタには鬼だけどなア!」 「うぎゃぁぁぁぁあ……っ!!」  赤茶髪の男の戦慄させるような恐ろしい笑みと共に、若い男の悲鳴が闇夜の空へと木霊(こだま)していった。  このように、この国には、裏で暗躍した仕事を担う人がいる。  それは、今に起こりそうな犯罪を未然に防ぎ、犯罪を犯した者を説得させて自首させたり、成敗したりする警察とは少し違う仕事。  それが誕生したのは最近の方で、稼いだ金は親を亡くしたり、行政によって隔離されて孤児となった子供達に、寄付金として出している優しい仕事でもある。  それを担う人は七ツの様々な道具をそれぞれ一つずつ持ち、表での仕事にとある共通点があった。  それは──  ──彼等は皆、最近になって世間によく知れ渡っている、とある業界の人だという事。  
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