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確か、彼は人気男性声優の一人で、危険腐女から叩き込まれた情報だと、ファンを魅了するボーイズなんたらの何かと呼ばれる人(記憶が曖昧だけど)。つか、めんどくせェから殆ど聞き流して忘れたけどな。
そんな人が、何故この一般人の俺やファンが明らかにいるであろうホール近くにいるんだよ?!
「お兄ちゃん、心の声が漏れてるよ」
「だぁぁァア!!!?」
呟いてたのかよ、俺?!つか聞くな、めんどくせェ!
洋一が叫んで少し苛立ちながら森泉を睨みつけると、彼は腹を抱えて笑いだし、ソファーからゆっくりと立ち上がって洋一の手首を掴んだ。
「お兄ちゃん。情報とは違って面白い人だね。俺、君のこと気に入っちゃった!ちょっとついて来て!」
「わッ、ちょッ、何するんだよ?!」
突如、森泉に強引にソファーから立たせられた洋一は、手首を掴む彼の手に慌てふためきながら、取り敢えず離れようと振り払おうとする。が、彼の掴む手の力は強く、なかなか振り払うことが出来ない。
「お兄ちゃん、声優は非力だと思ってたら大間違いだぞ~?さ、ちょっとした隠れ場所に行こうね」
ヤバい。このままだとガチで拉致られるぞ、俺!
取り敢えず抵抗だ。絶対に逃げ出すんだ。俺はコイツに関係無い!
焦ってその場に踏み止まろうとする洋一に、森泉はニヤリと笑って負けじと引っ張る力を強くし、半ば彼を引きずる形で廊下の奥へと連れていく。
「あともうちょいだから♪」
「嫌だ!離せ!止めろォォッ!!」
森泉にぐいぐいと引っ張られ、喚く洋一の目に廊下の奥の部屋が映る。その時だ。
バンッ!!
その部屋の扉が豪快に音を立てて開き、一人の男が現れた。
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