ようこそRe:set[レセット]へ

4/35

454人が本棚に入れています
本棚に追加
/358ページ
   確か、彼は人気男性声優の一人で、危険腐女から叩き込まれた情報だと、ファンを魅了するボーイズなんたらの何かと呼ばれる人(記憶が曖昧(あいまい)だけど)。つか、めんどくせェから殆ど聞き流して忘れたけどな。  そんな人が、何故この一般人の俺やファンが明らかにいるであろうホール近くにいるんだよ?! 「お兄ちゃん、心の声が漏れてるよ」 「だぁぁァア!!!?」  呟いてたのかよ、俺?!つか聞くな、めんどくせェ!  洋一が叫んで少し苛立ちながら森泉を睨みつけると、彼は腹を抱えて笑いだし、ソファーからゆっくりと立ち上がって洋一の手首を掴んだ。 「お兄ちゃん。情報とは違って面白い人だね。俺、君のこと気に入っちゃった!ちょっとついて来て!」 「わッ、ちょッ、何するんだよ?!」  突如、森泉に強引にソファーから立たせられた洋一は、手首を掴む彼の手に慌てふためきながら、取り敢えず離れようと振り払おうとする。が、彼の掴む手の力は強く、なかなか振り払うことが出来ない。 「お兄ちゃん、声優は非力だと思ってたら大間違いだぞ~?さ、ちょっとした隠れ場所に行こうね」  ヤバい。このままだとガチで拉致られるぞ、俺!  取り敢えず抵抗だ。絶対に逃げ出すんだ。俺はコイツに関係無い!  焦ってその場に踏み止まろうとする洋一に、森泉はニヤリと笑って負けじと引っ張る力を強くし、半ば彼を引きずる形で廊下の奥へと連れていく。 「あともうちょいだから♪」 「嫌だ!離せ!止めろォォッ!!」  森泉にぐいぐいと引っ張られ、喚く洋一の目に廊下の奥の部屋が映る。その時だ。  バンッ!!  その部屋の扉が豪快に音を立てて開き、一人の男が現れた。  
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

454人が本棚に入れています
本棚に追加