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「あ、ヒノちゃん!」
「ウソ?仲間?!」
森泉は、いきなり現れたヒノちゃんに唖然とする洋一を隣に立たせると、ニカリと笑って彼に手を振った。
ヒノちゃんがズカズカと音を立ててこちらへと歩きだし、森泉が彼に抱き付こうとしたその刹那。
「っんの、たわけがァッ!!」
スパーンッ
乾いた音と共に森泉の頭が何かで叩かれ、洋一が叩いた物は丸めた本のようなものだと確認したのは、彼がそれを持つ右手を下に振り切った時だった。
「森泉!!またお前は、部屋から勝手に抜け出しやがって!少しはイベントの様子を見るとか出来ねぇのか?!」
「ん~わかってるけどさ、ヒノちゃん。漸く見付けたんだよ?ファイルに載ってたターゲットの兄ちゃんをさ」
「それでもな。本人から名前を聞いてから連れてけ!」
洋一は、二人のやり取りに半ば呆然としながらその場に立ち尽くし、軽く溜め息吐いて考える。
ファイルに載っていたターゲットの人。もしかしたら人違いの可能性もあるし、強制的な拉致も無くなって、いつものような平凡に戻る筈だ。
「あの、俺、一応名前言っといて大丈夫ですか?もしかしたら、ターゲットとは人違いかもしれないですから」
洋一は森泉に問い掛けてみた。すると、彼は少し困った顔をしてヒノちゃんと洋一を交互に見つめ、逆に洋一に問い掛けた。
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