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大人三人が相手ではひとたまりもありません。
瞬く間に私は雁字搦めに縛り上げられてしまいました。まるで絵双紙の挿し絵の罪人のように、私はお膳の前に挽き据えられてしまって抗うこともできません。
「無理矢理にでも食べさせるから覚悟おし。」
どんなに泣こうが喚こうが赦してくれる気配など微塵もありません。普段は穏やかなお伯母さまたちも、今は目を三角にして顔を紅潮させています。
上のお伯母さまが私の背中と膝に掛けられた縄に手を掛け、身悶えさえも出来ないよう力尽くで抑えつけます。片膝立ちのお伯母さまは、着物の裾が割れて臑が露わになるのもお構いなしです。
お祖母さまはお祖母さまで、着物の袖を肩までまくりあげ片手で私の襟髪を鷲掴みにするともう片方の手を私の顎に掛け口をこじ開けに掛かります。子供が必死で歯を食いしばっても、それが何になるでしょう。縄に括られた手首の痛みについ呻き声をあげてしまった瞬間、とうとう私の口はお祖母さまの手でこじ開けられてしまいました。
待ち構えていた下のお伯母さまの手には私の一番苦手な里芋の茎の甘酢漬の器…
二、三切れまとめて口に押し込まれて来るのを、それでも私は必死で舌で押し出します。口からこぼれたものが顎を押さえつけているお祖母さまの手を伝って私の寝間着の衿元にしたたります…
「ほら、きちんとお食べ。」
口からこぼれた里芋の茎をお祖母さまは手づかみで再び私の口に押し込みます。その一瞬、口をこじ開ける力が弛みました。
「痛たたたっ」
私は苦し紛れにお祖母さまの手に噛みつきました。しかし…
「ひぃっ…」
…突然目の前に星が飛び、顔面がかっと熱くなりました。一瞬気が遠くなり放心した私の口にはもう無理矢理、ありったけの食べ物がお祖母さまとお伯母さまの手で押し込まれて来ました。
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