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俺の目に怯えたような色を見つけたのか、先輩は苦しそうにかぶりを振った。
そしてはっきりともう一度告げた。
「―――違う。喬生が好きだ。精神的にも…肉体的にも…」
最後の肉体的、で俺の顔に血が上った。
肉体…?肉体的って!?
それはつまり…
男同士で抱き合うという事か?
「返事は今じゃなくていい。考えてみてくれないか」
ゆっくりと言って樹先輩は踵を返すと帰っていった。
寒い、と感じたのは秋風のせいばかりではない。
突然告げられた思いが信じられず、重くて、薄ら寒かった。
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