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元服して大人となったお兄様と私は 本来なら、私が顔を見せる事も声を聞かれる事も、許されるものでは有りませんでした 年頃の上流階級の姫君は、例え親兄弟でも男に姿形を見せてはならないのです けれどもお兄様は 父上様を脅してまで、私の教養を示唆しにいらっしゃるのです。 賎しい獣腹の片割れを帝に送ろうとしていると。 私は萌黄さえ居れば失脚など恐くは無いと、父上様に恐ろしい事を言われたのです。 「‥やはり私達は父上の血が流れているのですね。 萌黄は何をやってもすぐに覚えてしまう 嬉しい事だが、君の裳着(もぎ:女子の成人式)も早まってしまうね」 新しい事を覚えるのが嬉しくて、お兄様が褒めて下さるのが嬉しくて、 私は教えられた事を吸収したのです でも お兄様は複雑な表情をなさるの。 お兄様を困らせる私は 居なかった方がいいの? 存在を確かめ合う羽の様な軽いKiss 今まではそんな接吻でしたが 日を追う毎に深くなるくちづけ 私の着物の帯に手を賭けるお兄様が恐ろしくなり、女房を必ず側に置きました 着物の合わせから滑る手を、声を抑えて必死に耐えました お兄様を刺激して、女房の前で間違いが有っては、私はお兄様に落とされてしまう お兄様の悲しむ様子を見ないふりして、 私は一心に教養を身につけ、美に磨きを掛けました。 この時は帝の元へ、お兄様から逃げたい気持ちでいっぱいでした     
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