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「萌黄ちゃんが可哀相だ!」 紫苑君? 何が可哀相なの? 何処が可哀相なの? 今までずっと、こうだったから分からないよ 「だって、外に出て走ったり出来ないし、鞠を蹴って遊べないし、 夜も一人でしょ? 怖くないの?」 私、ずっと出れないのよ? なら、走れなくてもいいわ 立って歩く事も私はあまり出来ないんだもの。 鞠だって、転がったら取りに行かなきゃならないのよね? 歩くのさえ辛いんだもの、今のままで充分よ? 夜が怖い? 何で怖いの? ずっとずっと、そうしてたのよ? 夜には夜の見張りの人も居るのだし、何が怖いのか分からないわ‥ 紫苑君、 紫苑君が何を言ってるのか私、時々分からないの。 私はね。 このまま続けばいいと思うの 何も変化がなく 平穏な世界。 時々紫苑君が遊びに来て、外の世界を教えてくれて それを想像するのが楽しいの。 可哀相なんかじゃないの。 可哀相なのは、この世界が崩れる時。 紫苑君が大好きなのに、元はひとつの片割れなのに 私は可哀相。 それだけは分からないの どうしても理解出来ないの ‥‥今だに何処かそう思うキモチが残っているのを、私はお兄様に黙っていた     
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