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蘇芳様は優しい方です みなさまに、 優しい方なのです。 蘇芳様には私の他にあと3人、妻が居ます。 お子様はまだ無く、その為に私に白羽の矢が立ち、召し上げられたのだそうです。 父上様の圧力も大きかったとは言え、帝にも拘わらず拒否権が無い事に嘆く方でも有ります 「私の母はね萌黄。 私を産んで見事、皇后になったけど 先の帝‥私の父だね。 帝は母の元へは訪れる事が無くなった 何時も夜は忍び泣いてたよ。 だから‥」 蘇芳様はどの奥様にも平等に、順に訪れる事を決めたそうです 御所の内裏で寂しさで泣く事の無いようにと、ご配慮されているのだそうです。 私もそれは素敵な事だと初めの頃は思ってましたが、蘇芳様を知るに随って それでは胸が苦しくなってしまうのです 逢えない日が必ず3日は有るのです あなたは私の光。 陽の光りが当たらないと、途端に私はつまらない女人になってしまうの。 ねぇ とても悲しいの あなたは私と同じ位、私の事を想って下さってる? あなたも 小さな頃のお兄様と同じ、ただ―可哀相―なだけ? それとも誰か‥ 蔵での生活が懐かしく 私はひっそりと泣きました。     
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