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「君達は姿形がそっくりだ。 紫苑が太れば萌黄もふくよかになるのかな」 蘇芳様の悪戯な言葉に、私達は跳び上がる程驚いたのです この頃私は物思いに耽って過ごしてました 華やかな広いお部屋 美しい衣装 私に忠実な女房達 空へと繋がる清廉な中庭 世の人の誰もが羨む煌めいた世界に、1番欲しいモノが今日も無い。 世界が詰まらないモノに思えてから、私は段々と色の無い世界へと足を踏み入れました あなたが居ないそれだけで ―何も美しく感じない ―豪華な食事も味がしない ―女房が笑っているのに楽しくない 色は 音は 光は あなたが全て握ってるの あなたは私の光 ‥誰をも照らす光だけど‥‥ 笑う事が少なくなった私を見兼ねて 蘇芳様はお兄様をお呼び下さったの。 何処までも優しい蘇芳様に 私は涙を零しました     
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