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私とお兄様の紫苑は双子。 蔵の中に閉じ込められても、私は外を見ることが出来た お兄様が私の目だった だから寂しくも悲しくもなかったの だけど 蘇芳様はお一人。 最高地位の孤独の中で、誰も教えてはくれない外を憧れるの 少し違うけど 蔵に閉じ込められた私と似てるわ お兄様と私。 人を想い愁う姿が、私達は同じなのが悲しいね。 お兄様は、他の女人へ通う蘇芳様に自分を失った私のように きっと、 私が蘇芳様を愛する大きさと同じ位、お兄様は私を愛しているのだわ‥ どちらも私に似てるひと。 どちらも愛おしい存在 でも 私はやっぱり 蔵の生活へ戻りたいと 広い広い内裏という名の蔵で、 私達に外を知るお兄様のような方が現れないかと ずっと 中庭を眺めてました 現実に眼を背けてました      ―了―
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