蒲公英とアンタレス

2/7
前へ
/197ページ
次へ
ちょっと待って! まだ閉じないでよ頑張って! 閉じようとする花弁を足を突っ張って止めても、意味がない事なんて分かってる! 眠りに就くのは分かってるの! でも逢いたいの。 ねぇお願い。頑張ってよ‥ 泣きそうになりながら必死で花弁を摩って温めても 規則正しい本体は、本能に忠実に眠ろうとしてた 仕方なく私は肌寒い外へと出たの。 薄い翅(はね)が夜風に千切れそう 薄い衣装は寒さの前では役に立たなくて‥ あたしは細い手を伸ばす。 ――ねぇ早く現れて! 涙で霞んでも、瞬きは美しくて‥ 誰よりも輝いてるから、直ぐにあなただと分かるわ? 瞼が重いの。 また、あなたに逢えないのかな? 黒い空に瞬く砂 南の方にS字のお供を従えた 魂のような赤い砂 ルビーのような赤い砂 あなたに逢いたかったのに‥     
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加