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目の前には私にそっくりなお兄様。
嬉しそうな、悲しそうなお顔をなさってるの。
ねぇ
そんなお顔をなさらないで?
大好きな貴方がそんなお顔じゃ私、悲しいわ?
笑って?
「姫、萌黄の君
私の力不足です
ごめんなさい
父上を止められませんでした。」
「お兄様が力不足なんて‥
何時も私を励ましてくれたのはお兄様。
父上様が何をなさるか知りませんが、私はお兄様が大好きですわ?
見て?」
立派で真新しく設えたお道具類。
私に侍る美しい女房達。
暖かいお部屋。
お庭の前栽の草花は、私を慰めるように咲き誇っているわ
「これはみんな、私の為に父上様が用意して下さったもの。
私、嬉しいの
紫苑の君のお兄様‥」
お兄様は私を抱きしめて、柔らかな接吻を下さいました。
私達が元の一つに戻るように。
くちびるから、お兄様の悲しみが心に広がる
だって私達‥
「誰よりも立派な女人(にょにん)に私がしてあげます。
さあ、可愛らしく笑ってごらん?」
私は笑ったわ?
お兄様が望む、上品な笑みを浮かべたの
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