最終話

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[!姫乃!…お前何言って…] アタシの突然の提案に顔をしかめる彰に構わず  さっさと、入り口のすぐ傍にある石川のテーブルに向かう  (…友達と来てるなんて嘘じゃん!!) そこには連れの者など居らず  ホストが一人着いているだけだった  [あ、友達、店に入ってすぐ急用が出来たらしくて  一杯も飲まないで帰っちゃったんです(笑)] アタシの心を読んだかのように  白々しく応える石川  […そうなんですか、じゃお邪魔します  あ、ワタシ達もう会計しちゃんたんですけど  石川さんの奢りで頂いていいのかしら?(笑)] 敵意剥き出しすぎたかな… 彼女がジュリエットじゃなかったら  さぞや常識のない女だと呆れる事だろう  だが それでも良い  今はそれどころじゃないのである  [勿論です(笑)お誘いしたの私ですから  さ、山下さんも座ってください  何飲みますか?] […あ…ああ…じゃあちょっとだけ…] ふしょうぶしょうに頷きながら  彰はアタシを軽く睨んで席につく  (大丈夫だよ彰  危険な事なんてないから  こんなに人の目の多い場所だもん  この際  ジュリエットの正体暴いてやろうよ…) 目に力を込めて夫に胸の内を伝える 彰は小さくため息をついて  了承の印のように アタシに軽く頷いてみせた
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