最終話

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[……岸田さんと私ですか?] 彼女はまるで思いがけない事を言われたかのように  ポカンとした表情で聞き返してくる  (これが演技なら中々の技量だね)  固唾を飲んで見守るアタシと彰  [んー…特に仲良いってほどではなかったですけど…] …曖昧な返事だ  よっしゃ  さらに突っ込んでやる  [そうなんですか? 一緒に帰ってお茶したりとかなかったんですか?] その問に石川はつと俯き  手にしたハンカチを弄る  ややあって顔を上げ  彼女は真っ直ぐにアタシを見た  [ええ…たまたま出社が一緒になって  そのまま連れ立って帰った事なら  確か数回ありましけど… けど… なんでそんな事お聞きになるの?] ぐ、内角低めにズバリと決めた球が来た  なんて返そう(汗) どう運べば、上手くあばく事が出来るのだろう… 彰…?ねえどうしよう? 救いを求めて 夫を見るが… ……… 『ブツブツ……梨奈ちゃん梨奈ちゃんありがとう… 君も可愛いよ…ん~チューしちゃおっかな…… ブツブツ…』 く(汗)だめだ! 今の彰はまったくダメだ ブツブツ言うてる… あー!!こやー!マジおまい何処にいんだよ この際お前でもいいから早よ此処に着いてワタシを助けなさい! つか… (又本当の事を彼女は話してる…  これはどうとれば良いんだろう… ジュリエットの策略? ジュリエットじゃないただの女の正直な答え? ああ…サヤが此処にいてくれたら良いのに…)
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