『三つの密室』

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 「ではさっそく現場検証を始めるわ、着いてきなさい!」 そう言って田中先輩と俺は一階の羅星の部屋へと向かった。  「いいんですか勝手にこんな事して、警察がくるまであまり現場のものには触らないほうが…」  「いいのよ、指紋さえつけなければ何やったって!」 …いや、いいわけがない。 それにしてもやはり、死体と言うのは何度見ても気分がいいものではないな… とりあえずベッドに横たわっているほとけに手を合わせておく。 化けてでませんように、化けてでませんように……  「ところで相澤くん、密室の動機と利点については、当然知ってるわよね?」 ミステリー研究会に所属しているなら知っているわよね、知っていて当然よね?的な感じでそう聞いてくる田中先輩。 勿論……俺が知るわけないじゃないですか。 はぁー、とウンザリしたため息を一つ漏らし、俺にこう説明してくれた。 まずその1『自殺の偽装』 密室状態において死体が発見された場合、通常では自殺、または事故死と断定されるからだ。 密室内には他者は入れない=他殺ではないという事になるからである。
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