『三つの密室』

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 「次に考えるのは死体偽装トリック」 死体偽装トリック!? 響きがちょっとカッコいい…  「“実は犯人は死体に化けていて死んではいない”、もしくは、“死体は別人のもので、犯人はその密室現場に隠れていた”他にもあるのだけれど、敢えてあげるとしたらこの二つね…」 なるほど、そういうトリックで密室を作ると言うわけか。  「だけどこれはどちらもダメね、二人の死体は首が無くて、矢吹くんに至ってはちゃんと脈の確認をしたもの…、それに私、部屋に入ってすぐに部屋中を隈無く探し、それも確認済み、これもボツね」 確かにあのとき田中先輩は、部屋に入る度に風呂場やらクローゼットの中を覗いていたな。  「でも、密室には関係ないけど、死体偽装が無かったとは言えないわね、…首無し死体の身元確認はなかなか困難なの、二人が本当に死んでいるかはまだ断定できないってわけ」 確かに、しかも今はまだ警察にも見せてない状態だ。 この首無し死体が山下妻や九曜孝彦のものとは、現時点では完全にはわからないというわけか。
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