『三つの密室』

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 「それに窓からの出入りなんかも絶対無理ね、三つの部屋全ての窓に鍵がかかっていたし、ここの窓は見て分かるよう外には十センチ間隔ぐらいで頑丈な鉄格子が取り付けられているし」 うん、それは俺も思ってました。  「……って、それじゃあこの完璧すぎる密室はどうやって作られたんですか?」 洋子さん曰く、通気孔を使っての侵入も無理、窓も無理、入り口の扉も無理、こうなっちゃ打つ手が無いっすよ!  「……おもしろいじゃないの、こうまで完璧な密室、絶対私の力で解いて見せるわ……推理小説オタクの名にかけて!」 自分で言ってるからね、推理小説オタクって! あとそれどっかで聞いた事ある名言だからね! “田中は過去に人を殺している” その時、俺の脳裏にその言葉がよぎった。 ……いかんいかん、今はそんな余計な事を考えるな俺! 顔をブンブンと横に振り、邪念をふき払う。
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