序章

2/6
前へ
/42ページ
次へ
生きた音楽が流れる。 指揮棒を見ながら、有紗はフルートを吹いていた。 金管楽器、木管楽器、打楽器、コントラバス、指揮者が織り成す音楽……吹奏楽。 このステージにいるのは、そんな吹奏楽を愛し、各々の楽器の役割を担っている人たちだ。 軽快なテンポの良い曲。 短い休符で、譜面をめくらなければならない。 (あっ) 譜面台に乗っていた鉛筆が、めくった譜面によって吹っ飛ばされた。 そのままコロコロと転がり、座ったままでは届かない場所まで行ってしまった。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加