2人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ今日は終わりです。次は2週間後になります」
団長が次の合奏練習の予定を話す。
団長には申し訳ないけれど、鉛筆を返さなきゃ、という気持ちでいっぱいだった。
「ありがとうございましたー」
楽器を片付け始め、がやがやとするステージ。
とりあえず片付けより先に、さっきの彼の元へ向かった。
「あの、これありがとうございました」
「あぁ、はい。
君……中3?」
「はい。……同い年だよね?」
一瞬だけ、彼の表情が止まった……ような気がした。
が、すぐに彼は笑顔になって、
「うん。じゃあ、そろそろ片付けるから、また」
むしろさっきよりにこやかに返された。
「じゃあ、またね」
有紗も片付けをしなければいけないので、シンバルを磨き始めた彼に背を向けた。
(瞬、っていうんだ)
園ヶ谷 瞬 (そのがや しゅん)。
学ランのネームプレートにはそう書いてあった。
最初のコメントを投稿しよう!