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「実彩子ちゃんも読む?この漫画貸すよ」
れいなちゃんがその漫画を差し出してきた。
「……いいや」
あたしは携帯を取り出した。
隆弘に会いたかった。
今すぐ隆弘の顔が見たかった。
わがままでもいいから。
「ごめん、れいなちゃん。ちょっと電話してくるね」
あたしは席を立ち上がった。
「でも、あと五分くらいしかないよ?」
そんなのどうでもよかった。
「…ん」
あたしはちゃんとした返事をせずに、教室を飛び出した。
そして隆弘に電話をかけた。
隆弘はすぐに電話にでてくれた。
「実彩子?何かあった?」
隆弘は心配してくれてる。
「……どうしよぅっ…。隆弘会いたいよ」
一粒の涙が落ちた。
「…何講義あるの?」
来てくれるの?
「あと一講義だけだよ」
声聞くだけで安心するもんなんだね?
あたしってこんなに隆弘が好きだったんだ。
「わかった。講義終わる時間に迎え行くな」
そう言って隆弘は電話を切った。
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