第3話 山崎さんの魔道書

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 この<冥王の書(死)>が、あの清水祥子の遺産だって!?  前述したけど、清水祥子は約10年ほど前、私がまだ光桜学園に在学していた学生時代、そんな光桜学園内で起きた日本犯罪史上稀に見るような凄惨な事件となった黒魔術殺人事件の首謀者だ。  まさか、そいつの遺産だったなんて……!?  むぅ、そんな曰くつきの本を持っていても大丈夫なんだろうか?  オカルトなこと信じちゃいないけど、なんとなく不安だなぁ……。 「『我は言葉は仮初の命に〝死〟をもたらす力ある言葉。我が言葉は悪しき魂を開放する力ある言葉』って読むのかな……」  さて、<冥王の書(死)>の冒頭には、そんな言葉が英文で書いてあるわけだ。  一体、どんな意味があるんだ? 「うぐ、お姉さん、読めたの?」 「え、普通に読めたけど……」 「むぅ、俺なら訳すだけでどれだけ時間がかかるか……」 「同意だぜ……」 「うう、同じく……」  魔術部の仲良し3人組は苦笑を浮けべながら、はぁ~と溜息をついて肩を落とす。  どうも三人とも英語が苦手らしい。  う~ん、ペラペラと英語は喋れないけど英文を訳すだけなら、私にだってできる。 「う~ん、とにかく。どんな意味があるのかさっぱりだな……」  <冥王の書(死)>の冒頭に書かれている英文を訳したところで、その意味が理解できないんじゃなぁ……。
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