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外装は西部劇の酒場であるが、一歩店内に足を踏み入れると、そこは特に目立った内装が見られないいわゆるごくごく普通の刃物屋である。
売り物として飾ってあるの包丁が収納されているショーケースの中にも、特に変わった刃物ものはない。
さて。
「ボブさん、ありがとう! これがあれば〝あの化け物〟を始末できるはずだ!」
レジカウンターのところにいる薄汚れた青い作業着、首に巻かれた赤いマフラー、それに顔を包帯で覆っている透明人間やミイラ男を強制的に連想させてしまう奇妙な男――池口の手には、剣のような刃物が見受けられる。
蟷螂の腕、それに弧を描く三日月のような剣だ。
「ちょッッ!! そんな物騒なモノを持っていると銃刀法違反でパクっちゃいますよ!」
ぶ、物騒なッッ!!
う~ん、そんなものを持ってる輩を、警察官として見過ごすわけにはいかない!
コイツは善悪に問わず許しておくものかってところだ!
「む、むぅ! 済まない……、調子に乗ってしまった」
意外と礼儀正しい男のようだ。
それに私が警察だって分かっているらしいな。
池口は申し訳なそうにペコリと一礼する。
(へぇ、礼儀正しいじゃん……。もっとアウトローな感じがすると思ってたから意外かな?)
う~ん、ちょっとだけ好印象を持ってるかもしれないな。
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