第3話 山崎さんの魔道書

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「さて、もうひとつ語っておくべきだろうか」  再び包帯で顔を覆うと、池口は再び語り始める。 「黒魔術殺人事件を知っているだろう? あの凄惨な殺人事件の真犯人はアフメティスだ!」 「な、なんだってー!!」  あの黒魔術殺人事件の真犯人は、高瀬先生――いや、アフメティスだって言うの!? 「清水祥子は光桜学園の生徒全員を生贄に捧げようと目論んだアフメティスの野望を打ち砕いたんだ。だけど、彼女は返り討ちに遭ってしまった。そして、あの化け物の一味による情報操作によって惨劇を起こした首謀者にされてしまった!! 後日、彼女が自殺をしたことは知っているはずだとは思うが、あれは連中に自殺を偽装されたかたちで殺害されたんだ!!」  そ、そんなことって……!?  清水祥子は今でも凶悪な殺人犯として名高いのだけど、それは汚名だったのか!! 「清水祥子様はやっぱり英雄だったんだ!!」  う~む、一部の人間からは英雄視されていることには間違いはないけど、なんだか気分的に微妙だ。 『アフメティスか……、どんな女だったか忘れてしまったよ』 「えっ!? 今、なにか言わなかった?」 「ん、なにも言ってませんよ、師匠」 「気のせいかな? 信じていいのか、それとも疑うべきなのか? あまりにも突拍子もないことばかり言いまくる池口のおかげで、私は空耳まで聞こえるようになってしまったんだろうか?
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