第3話 山崎さんの魔道書

55/56
551人が本棚に入れています
本棚に追加
/926ページ
「ううむ、困ったな……。ミイラ化した状態とはいえ、アフメティスは死んではいない。然るべき方法で始末しないと生き返ってしまうッッ!!」  然るべき方法で始末しないといけない!?  じゃあ、う~ん……、杞憂だけど、その然るべき方法がないとミイラ化した高瀬先生――旧支配者と呼ばれる名状しがたき邪悪な神々を奉じる邪教の巫女アフメティスが蘇るってことなのか?  ああ、そういえば忘れるところだった! 「これってアナタの物ですよね? とりあえず返しておきます」  私はあの中心に燃え上がる眼が描かれた五芒星――旧神の印のペンダントを池口に返そうとするのだったが、 「いや、今の私には不要だよ。ここまで深きもの化が進行してしまった以上、私の肉体に害を及ぼすものとなってしまっているのでね……。だから、それを君に託すとしよう」 「は、はぁ……」  う~ん、身体に害を及ぼすものだって?  後日、知ることになることだけど、旧神の印は旧支配者や、その眷属を遠ざけるものらしい。  心は人間とはいえ、身体的にはクトゥルフ邪神眷属群の中でも、特に有名な深きものの血を引く池口だけど、今までは辛うじて押さえ込んでいた深きものの血が事故のおかげで目覚めてしまったおかげで、今の彼には旧神の印は肉体に害を及ぼすものとなってしまったらしい。  う~ん、そんなわけで私は、池口が持つことができなくなった旧神の印のペンダントを託されてしまったようだ。
/926ページ

最初のコメントを投稿しよう!