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「ぇ…」
不意に聞こえた声は小さかったけど、明らかに亀梨の声だった
亀梨を見ると…
瞳が少しだけ揺らいで、唇を噛み締め俯く
「か、め…?」
心配で声を掛けてみる
グッと握り締めた拳に力が入ったと思ったら勢い良く顔を上げた
「やだ…俺も、俺もじんと帰る!」
ぴぃの方を見たかと思うと、いつも笑っている亀梨がアヒル口をして強めの口調でいつもより声を荒げて言う
そんな亀梨を見て、俺は嬉しいと思った
きっと俺の顔は緩んでたと思う
「ダーメ。亀梨くんはいつも仁と帰ってんじゃん?たまには仁も他の人と帰りたいんだって。でも仁は優しいから亀梨くんに言えなかったんだよ?それでも、君は仁と…帰りたいの?」
…は、はい?!俺、んな事思ったことも言った事もねぇんだけど!!
ぴぃのいきなりな発言に驚いて、何かムカついて…俺の眉間には刻まれんじゃないのかって思うほどの皺が寄っていたと思う
次の瞬間、視線を感じてその顔のまま亀梨を見る
「…じん、ごめ…おれ、知らなかった…」
俺が自分のせいで不機嫌になったと感じた亀梨の瞳は悲しんでて、声は少し震えていた
俺の心が何かにギュッて握り締められたみたいになって苦しくて…
「仁、行こ?」
何も考えらんなくなった俺はぴぃに腕を掴まれ、引き摺られるようにして歩き出す
その瞬間見た亀梨の瞳に輝いたものは…
やっぱ涙、だったの??
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