8人が本棚に入れています
本棚に追加
「知られちゃいけない情報屋の割には、結構派手な手段じゃない?」
「こそこそやるよりは、疑われにくいだろ。ほら和紀、早く実験台」
勇人は強引に僕を写真会場の真ん中の椅子に座らせると、照明を少しいじくってから、シャッターを切った。
そうこうしているうちに、クラス1の秀才君が、少し不機嫌そうな顔をして現れた。
毎朝1番に登校するこいつ――仁頼(ヒトヨリ)傑(スグル)は、訝しげに僕たちを見詰めると、とても優等生な態度で言い放った。
「君達!学校に必要のない物を持ち込むのは、校則で禁じられているよ」
こいつが嫌われている理由のひとつに、風紀委員の仕事を完全なまでに全うしているということが挙げられる。
僕は椅子から立ち上がり、手招きした。
「あっ、ちょうどいいところに! 仁頼も撮らないか?吉光が記事書くんだってさ」
僕は仁頼の剣幕に負けないよう、精一杯嘘を演じた。
最初のコメントを投稿しよう!