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「たいちくーん!」
足音と共に聞こえてくる、まだどこか幼い声。僕は振り返って、声の主が追いついてくるまでずっと、その場に佇む。
「太一君、一緒に帰ろうって言ったじゃない……」
乱れた息遣いで、とても寂しそうに語尾を濁らせて……僕を上目遣いで見てくる少女。
「ごめん、奈緒……」
僕がそう言うと、奈緒はぷくっ、と顔を膨らませてみせたが、また直ぐにいつもの笑顔へと戻る。
「ねぇ、今日もあそこに行かない?」
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