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そう言ったのは、髪も髭も真っ白ではあるが、背筋をぴんと張った大柄の老人である。
ハーゲン=ストーム=タイランド。四大貴族ストームの前当主。いまでは家督を長男に譲り、悠々自適の生活をしている。また、魔法に関する知識も深い。
「この老いぼれの知恵や技で調べてみたが、なんらかの魔法とか、アイテムの効果とか、全く感じられんかった。つまり、魔力がないのは……」
「悪い血が入ったからですな。やはり、どれだけ取り繕うとも下級貴族の子は下級ですな」
そう見下したかのように発言したのは王国筆頭書記のキーズ=ワード=エクゼル。広範な知識をもち、王の知恵袋と評判である。
「それは違います、エクゼル殿。僭越ですが、確かに親の魔力が高いと子の魔力も高いと申します。ですが、魔力のない平民の子が高い魔力を出す例もありますし、魔力が後から変動することも有り得ます。今では魔力の高低は両親にあまり関係ないと言う説もあります」
シノーウは、やや怒ったような口調でキーズに詰め寄った。
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