プロローグ

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「ふん、それは説の一つにすぎぬし、第一、貴族の魔力が高いのも事実。いくら‘王都の守護者’と言えど元下位貴族ということだ。平民と変わらぬ」 「それは!」  シノーウが、更に反論しようとしたとき、ランドルフがよく通る穏やかな声で発言した。 「エクゼル殿、シノーウ殿、貴重なご意見ありがとうございます。そしてタイランド殿、とりあえず、我が子に魔力以外に問題点はないわけですね。お調べいただきありがとうございます」  またもランドルフは頭を下げた。それを見たキーズは鼻白んだ。 「いや、老いぼれとしては英雄ランドルフに恩を売りたいと思ってな。実際は無理だったがな」 「英雄とは恐れ多い。ハーゲン殿こそ、英雄と呼ぶに相応しいです。幾多の戦場を巡り戦い続けてきた方にこそ」  それに対してハーゲンに苦笑いを浮かべた。 「もう何年になるかの。隣国の侵略に軍を出し、王都の守りが薄い時、魔族に魔獸が十体ほど襲ってきた。そんな中に飛び出して行く勇気はわしにはない。増してそやつらを撃退するなどな」    「……」 「魔物の見間違いでしょう。本当なら、一体で一軍に匹敵する奴ら。寡兵で対抗できましまい」
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