プロローグ

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 ここでランドルフが口を挟んだ。 「申し訳ありませんが、ここでは、私の長男についての話が主題ですが……」  そう言ったランドルフに対してキーズは立ち上がりながら言った。 「まず、魔力がない。これは確実だ。だとすれば一番良いのは死産したとして平民にする事だな。今の王なら‘試し’は少ない。生き残れるかもしれん」  シノーウは立ち上がった。 「まだ、魔力がないと決まった訳ではないです!」 「ふん、ならばその子を鍛えて‘試し’を受けさせるか?幼い内に魔物が数多くいる魔の森にある神殿まで行くことになる。大人の戦士でさえ危険なのだぞ。多少魔法や武術が使えるようになってもまず戻ってこれまい。タイランド殿ならわかるでしょう」 「まあ、老いぼれとしては、そうだ、と言わざるをえん。が」  わずかに迷ったあと、ハーゲンは重い口を開いた。 「‘試し’のあと、強大な魔力を得ている、と言う伝承もある。王国開祖グンデイル一世王もその一人。ほかにも英雄、賢者数多くいる。そのほとんど全てに魔力がなかった、とされる」   それを聞いたキーズは顔色を変えた。
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