携帯小説

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  『そうそう、哲平、ちょっとこれ読んでみてよ』     アタシは洗い物を終え、明日の朝食と哲平の弁当のために米をといだあとテーブルの上に置いてあった携帯を手に彼に近寄った。     『ん? 更新すんの?』   『ていうかね、この先のストーリーをふた通り考えてんのよ。あ、そのメモ機能の1から10とさ、11から20までを読み比べてみて』   『面倒臭ぇ』   『頼むって、ね?』     哲平はアタシから携帯を受け取るとカチカチと操作しだした。     そう。   アタシはサイト内で携帯小説を書いている。   最初は読む側だった。   仕事の合間の暇潰しのつもりで読んでいるうちに自分も書いてみようかと思ったのが始まりだった。   やってみるとこれがなかなか面白い。   熱しやすく冷めやすいアタシが、もう3つ目の小説を書いている事から、この遊びは暫く続くだろうと思われる。   仕事の合間に書きため、それを読み直しては更新していた。   勿論、哲平はアタシの小説を誰よりも先にこうやって更新前に読んでいる。   そして、時折文章の繋がりのおかしなところがあると指摘してくれるのだ。  
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