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「皆さん、今日から ここパティスリーHAKUで働くことになりました 市原 美咲さんです」
ここの店長である司さんは、開店前に、私の自己紹介の場を設けてくれた。
「はじめまして、
市原 美咲です。
よろしくおねが……」
突然、私の口がフリーズしてしまった。
それもそのはず、目の前には容姿端麗な男性スタッフの姿しかない。
予期せぬ事態に動揺を隠しきれずにいた。
目だけを左右動かし確認するけれども、やっぱり女性の気配がない。
「あっあの司さん……女性の方が見当たらないのですが……、
もしかして、私だけ……ですか?」
司さんは相変わらずの笑顔で、
「えぇそうですよ。
特に 理由はないのですが……まっこっちの方が団結力がありそうだなと思いまして」
っと、
簡単に まとめられてしまった。
私の気持ちが落ち着かないまま、すでに、司さんはスタッフ達の自己紹介に移っていた。
もたもたしてられないと自分に言い聞かす。
司さんの説明によると、
製造担当(パティシエ・ショコラティエ)が司さん含め4人。
司さんとは真逆のタイプの 焼菓子担当、
近藤 勇(イサミ)。
顔をしかめて不機嫌そうな ショコラティエ、黒木 学(マナブ)。
この中で一番年上でダンディーな 冷菓・生菓子担当、
松崎 竜二(リュウジ)。
そして 店長の司さん。
続けて接客スタッフが3人。
このメンバーは製造と違い、ぐんと平均年齢が下がっている。
ツンとしたクールな感じの、
若林 ルカ。
女の子と見間違えるほど綺麗な顔立ちの、
愛川 渚(ナギサ)。
最後に、とても少年という言葉が似合いそうな可愛い感じの、
吉田 裕也(ユウヤ)。
計7人で、この店を支えているという。
(えっ……てことは、
あんな沢山のお客さんをいつも この7人で さばいてたってこと?)
いつも通りがかり見ていたけれど、あの人の多さを考えるだけでゾッとしてしまう。
(私……ついていけるかな……うぅん、やらなきゃ……やると決めたんだから!!)
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