司の心情

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(美咲に合わす顔がない) 『とりあえず命は助かりました。肺炎は油断をすれば命を失う危険性があります。今回は発見が早くてよかったですね。少し遅ければ呼吸困難で――』  医師は途中こんなことも言っていた。美咲の命が助かったのも子供の命が助かったのもすべてイサミのおかげだ。 (結局俺は何もしてあげれなかった)  自らの不注意のために美咲を瀕死の状態にまで追い込んでしまった。  青ざめた美咲の顔が鮮明に俺の目に残っている。  その時突然あの時の母の悲鳴が聞こえてきた。 『あなたぁぁぁぁ!』 「っく!!」  幼き日のあの事故が再び俺の頭をかすめ恐怖で全身がガタガタと震えはじめた。  大事な人の命を失う怖さそして自分の不甲斐無さが俺を奈落の底へと突き落す。 「ビビって動けないか?」 「!?」  背後からイサミの怒りを含んだ声が聞こえた。 「いつまでお前は臆病風に吹かれてんだ」  俺は俯き言葉が返せなかった。  その瞬間イサミは俺の肩を強く握り思いっきり壁際に俺の体を押し付けた。 「くっ」  向かい合った状態で見るイサミの表情は厳しくも切ない表情をしていた。  そんな顔に俺は胸が痛んだ。 「やっぱり美咲はお前と結婚するべきだったのかもな……」  口をついて出た言葉は、本当に情けなく最低な一言だった。  間髪入れずにイサミの拳が俺の頬をえぐり俺はその衝撃で、床へ派手に倒れてしまった。  そしてすぐさまイサミは俺の胸ぐらを掴み再度壁に追いやる。  凄まじいほどの怒気が俺の首を絞めつけた。 「お前が、いつまでたっても、そんなんだから美咲ちゃんはこんなことになるんだよ!!」 「ぅ……そんなことは……わかっている……でも、どうすれば美咲を安心させれるか……分からないんだ」 「いい歳こいていつまでもうじうじしてんじゃねーよ!!そんなの簡単だろが!!」  するとイサミはパッと手を離した。 「片時も離れず美咲ちゃんの傍にいてあげればいい」 「そうはしてあげたいが俺には……」  イサミは俺の思惟を読み取ったのか、得意げに笑った。 「店のことなら心配するな、特別に美咲ちゃんの入院中はハクに戻ってやる」 「は?だけどお前!!」 「親友が困ってるのに放ってられるか……俺なら心配するな親父には連絡してる。お前は自分の事だけ心配してろ」 「イサミ……」image=418449300.jpg
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