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「でも、お店は大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ」
そう言って司さんはそっと私の額にキスをしてくれた。
「俺はずっと美咲の傍にいるよ」
「司さん」
感情が高ぶり私は酸素マスクを外し思いっきり司さんの体を抱きしめた。
(もう絶対に離れたくない!!)
「今日の美咲は大胆だな」
「そう……ですか?」
「あぁ」
それからは、安心したせいなのかドッと睡魔が襲い掛かり私は司さんを抱いたまま眠ってしまった。
その後の経過は順調で退院もすぐ出来るとお医者さんが言っていた。
司さんは片時も離れず私の看病をしてくれたけど、この二週間嬉しいことばかりじゃなかった。
まず一つは司さん目当ての看護師さんがひっきりなしに病室を訪れること。
看護師さんと楽しそうに話してる司さんを見ていて私は終始メラメラだった。
そして、もう一つ。
「美咲ちゃん体を拭きましょうね」
まだ、入浴の許可が出ない私のため時間になると司さんは濡れタオルを用意し私の身につけているものを全て剥ぎ取る。
司さんはカーテンをぴしゃりと閉め二人だけの空間を作り出した。
「司さん自分で拭くから大丈夫ですよ」
「問答無用、これは俺の楽しみであり旦那の義務だよ」
「義務ですか……」
聞く耳を一切持たない司さんはゆっくりとタオルを肌に滑らしニヤリと不敵に微笑む。
「や、もう、くすぐったいです」
「いい反応だね~。さて、今日はどこから攻めようか、ここか?」
私の恥ずかしい気持ちなんてお構いなしに体をいやらしく拭くのが司さんの日課になっているのです。
そんなこんなで退院を明日に控えた午後の昼下がり、私は最近始めたパソコンを使いハクのホームページを作っていた。
はじめは難しくて使いこなせなかったけれど私もハクのために何か役にたちたくて一生懸命勉強し、ようやく今は一通りのことが出来るようになった。
以前三嶋さんに言われた言葉が今でも胸に引っかかっていて、自分がハクのため司さんのためにやれることをしようと考えた。
三嶋さんのおかげで夢への重みに気付けることができた。
「司さん私頑張りますね」
窓際に座る司さんへ話しかけるも返事がない。
視線をソチラへ向けると司さんは目を閉じ寝息をたてていた。
退院の準備で疲れたのか今は気持ち良さそうに眠っている。
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