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「名前は?」
すごく険しい顔で質問をしてきた黒木さんに私は緊張してしまった。
「えっと、……コマチちゃんです。心に茉で心茉」
そう答えると黒木さんは一瞬にしてデレデレした表情を浮かべ私の隣で静かに寝ているコマチのほっぺをツンツンとつつきはじめた。
(ひっ)
あまりの気持ち悪い行動に司さんと近藤さんは争いを中断させた。
「おいコマチ、お前可愛いなー」
デレ黒さんのおかげで今は冷房いらずだ。
「母親に似るんじゃないぞコマチ」
(黒木さん!またそんなことを!!)
「いや、黒木それは逆だ!父親に似るんじゃないぞコマチ!!」
「イサミ!ケンカ売ってんのか!?」
こんな感じで見た目によらず優しく頼りになる人たちに囲まれて育つコマチは幸せ者だと思った。
私たちが思い描いていた笑いの絶えない幸せな家庭は案外身近に存在しているのかもしれない。
三人仲良く暮らしていけばきっと明るい未来が開けるはずだ。
司さんこれからもこんな気弱な私ですがよろしくお願いします。
そしてコマチ、頼りない母親ですがパパと力を合わせて精一杯愛情を注ぎあなたを育てていくのでよろしくね。
「あっ、言い忘れていた」
黒木さんは急にポツリと呟いた。
「どうした黒木」
司さんに尋ねられ黒木さんは照れたように俯いた。
「おれ、今年結婚するから」
「「ええええええええ!!」」
fin.
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