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コマチが生まれて初めてのクリスマスがやってきた。
白川家では一日遅いクリスマスになるが店をお休みにし今日は盛大なクリスマスパーティーが開かれる。
そして我が家にハクのスタッフはもちろんロスから帰国した近藤さんや、黒木さんのお嫁さんも来てくれた。
こんなにも大勢の人たちが集まるクリスマスパーティーは私でも生まれて初めてだった。
「司さんコマチもすごく喜んでますね」
コマチはハイハイで皆に挨拶を終わらせると司さんが寝ずに制作した巨大クマのデコレーションケーキの前でキャッキャと声を出しはしゃいでいた。
「うん、俺の作った特大くまさんケーキに釘づけだ」
そんなケーキを眺めているコマチを黒木さんはヒョイッと抱きかかえ、自分の顔にスリスリと摺り寄せはじめた。
「コマチ~元気だったか?会いたかったぜ」
(やだ、黒木さん以前にも増して気持ち悪さがパワーアップしている)
コマチが生まれたばかりの頃は毎日のように会いに来てくれていた黒木さんだが、最近は結婚式の用意などが忙しくコマチに会うのも三か月ぶりだった。
「う、う、うああああああああ」
コマチは久し振りにあう黒木さんに恐怖を感じたのか突然大声をあげ泣きはじめた。
そんなコマチにオロオロしている黒木さんの姿がおかしくて皆は声を出して笑った。
「お、おい、コマチ!どうした、俺だよおれ、黒木のおじさんだよ~」
「ブハッ!」
この黒木さんの真剣な珍発言には一同大爆笑だ。
(自分で黒木のおじさんって……)
「司!どうすればいい!コマチが泣き止まないぞ」
黒木さんはとうとう司さんに助けを求めた。
「ったく情けないな、ほら」
っと、言いながら司さんは黒木さんの頭にクマ耳をポンッとつけた。
「なんだよこれは」
黒木さんのクマ姿があまりにも間抜けすぎて再びこの場は爆笑の渦となった。
「いいか?黒木、コマチは“サクサククマ太郎”が大好きなんだ。コマチを泣き止ませたいのであれば誠心誠意、愛のこもったクマ太郎のテーマソングを歌うことだ」
「はー!?」
それから黒木さんは司さんに指導されながら一生懸命クマ太郎を熱唱していた。
「馬鹿野郎!顔が怖いんだよお前は!」
「すみません司先輩」
「もう一度はじめから!さん、はい!」
黒木さんも司さんも不眠不休が祟ってか、妙なテンションだ。
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