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「さて、俺そろそろ帰ろっかな……」
そういいながら近藤さんはコマチを私に渡そうとしたが、そのコマチは近藤さんの服を握りしめ離そうとはしなかった。
(近藤さん残念です)
帰る事を諦めた近藤さんは再び二人に間合いをとられ無防備な体を攻撃されはじめた。
「お、おい!お前ら何してんだー!」
コマチを抱えながら懸命に抵抗するも無惨にも近藤さんの携帯電話は二人により没収された。
「やめろ!!返せ」
「どうしようかな?色々と教えてくれるのなら返してやってもいいが?」
あくどい顔で黒木さんは携帯電話を近藤さんに見せつける。
手が離せない近藤さんは悔しそうな表情を浮かべていた。
けれどもその時だった。
黒木さんが手にしている携帯の着信音が軽快に鳴りはじめ、にわかに近藤さんの顔が曇り始める。
「お?噂をすればなんとやら」
黒木さんは画面を見ながらニヤリと笑った。
「やめろ!!」
近藤さんは足を使い黒木さんを攻撃するが黒木さんは華麗にその攻撃を回避する。
「頼むから携帯を返してくれ!!」
「やだね」
黒木さんは容赦なくみんなの前で通話ボタンをプッシュした。しかも、よりによってスピーカーホンでの通話だ。
「ボンジュー三嶋」
「ボンジュー……って、その声、学?」
久しぶりに聞く三嶋麗香の声はさすがに驚いた様子だった。
「あぁ久しぶり、元気だったか?」
「もちろんよ、だけどどうしてイサミの携帯に学がでてんの?」
「アイツ今席外してて」
「そうなの」
三嶋麗香の声がはっきりと聞こえ、こちらまで恥ずかしくなり、私の横にいる司さんもこれには呆れ顔だ。
「アイツ本当に鬼畜だな、……あんなところは兄カナウにソックリだ。……イサミには悪いが、あれはもう俺にも止められない」
そのとなりで近藤さんはコマチを抱いたままぐったり項垂れていた。
「ところで三嶋、近藤と付き合ってんのか?」
(え!?黒木さん、ストレートすぎます!!)
「黒木!キサマ!!」
近藤さんの叫びも虚しく──。
「Oui」
この答えに一同蒼然となった。
(ウィって、ハイってことよね)
そんなこんなで楽しい(?)クリスマスパーティーは静かに幕を閉じ、白川家は無事に新しい年を迎えることが出来ました。
さて黒木さんに酷くやられた近藤さんはその後一体どうなったのでしょう……。
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