イサミンの恋人

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 これをいい機会に俺はこいつに説教を垂れることにした。 「お前な、いい加減そのねじれた性格をどうにかしろよ!」 「何言ってんの?私のどこが、ねじれてるっていうの!」  三嶋はワインを一気に飲みテーブルに強くグラスを置いた。  そんな三嶋に俺は深くため息をつきゆっくりと口を開いた。 「そういうとこがねじれてるっていうんだよ」 「ほっといて!」 「もっと素直に女らしくしろって言ってんだよ俺は!人の言葉をしっかり聞き入れ、ちゃんと吸収しろ、そうすればお前は素敵な女性に変われるよ。今からでも遅くない」 「……」 「お前はそれだけの美貌と知力を兼ね備えている。それを無駄にするな」  その言葉を最後に三嶋は黙りこみ俺たちの間に長い沈黙が流れはじめた。  しっとりとしたBGMがこの場を支配し俺は二杯目のビールを飲み干した。  すると三嶋はスッと顔を上げ沈黙を破る。 「無理よ……父がいなければ私なんて何の価値もない人間だもの……私に才能なんてないのよ、私には何も……」 「ったく、さっきも言っただろ。お前はお前の親父以上の才能を秘めている。それは司も黒木も皆言っていた。この期に及んで何弱気になってんだ」 「近藤……」  三嶋はここにきて初めて笑顔をみせた。 「けどな、お前がやってきたことは決して許されることじゃない、俺が何のことを言っているか分かるだろ?」 「わ、わかってるわ……」 「まずはそれを悔い改めろ、お前は大切な命を奪い兼ねなかった。今は到底許してもらえないだろうが、お前が真面目にやっていれば必ずそれなりの報いはあるはずだ」  俺の言い分はこれが全てだった。後は三嶋自身の問題だ。 (凶と出るか吉と出るかは今後のコイツ次第だ……俺はもう帰ろう)  そう思い立ち上がると三嶋も同時に席を立った。 「待って!!」 「!?」  三嶋は口をつぐみ胸の前に握りしめている拳にグッと力を込めた。 「どうした……」
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