3535人が本棚に入れています
本棚に追加
次の瞬間ザッと勢いよく襖が開き、私は失神寸前で懸命に呼吸をする。
(司さん!助けて!)
けれど、それは容赦なく私のもとへヒタヒタと足を進め、
そして勢いよくのしかかってきた。
(いやあああああ)
恐ろしくて声も出せなければ身動き一つも出来なかった。
(嘘、これが、金縛り!?)
私の恐怖メーターはマックスをはるかに超えていた。
(重い……苦しい……)
「くくくくく……」
耳元で男の笑い声が聞こえる。
「クククククク……」
(いやぁああぁってあれ?……ちょっと待ってこの声って)
私は聞き覚えのある笑い声に違和感を感じた。
半信半疑だがゆっくりと布団をめくり、のしかかっているものの正体を確かめようとした。
すると、
「美咲遅れてごめんね」
「っ!!」
私の顔面に近距離で司さんの顔が見えた。
その瞬間嬉しいやらなんやらで、ドバっと大量の涙が溢れ出てくる。
「司さん!どうしてここにいるんですか!」
「どうしてって美咲に会いに、だけど?」
そう言われるとより一層涙が出てしまった。
「司さん、ごめんなさい!私自分のことばかりしか考えていませんでした、これからは全力で司さんをサポートさせて下さい!」
けれども司さんからは何一つ反応が返ってこない。
「?」
「ス…………」
なんと司さんは私にのしかかったまま寝入ってた。
(うそ……)
そのまま私は司さんの体を横に敷いてある布団に移動させ掛け布団を被せた。
「よっこらせっと、これで良し」
(司さんよほど疲れていたんだな、それでも私のもとに来てくれたなんて、嬉しすぎるよ)
どうか、これが夢でありませんようにと願いながら、私は司さんの手を握り再び眠りに就いた。
そして朝日がさんさんと、こちらへ差し込み始めると、私はゆっくりと瞳を開き隣の布団を確認した。
(司さん……あれ?いない)
「嘘!!夜中に司さんが私の所に来てくれたはずなのに」
しかも、布団には司さんがいたような形跡は残ってなく、寝る前と同じ形だった。
(そんな……本当に夢だったなんて)
そう思うと悲しくなり目の奥がジワっと熱くなってきた。
最初のコメントを投稿しよう!