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悲しみに沈んでいた私は早々に帰る支度をはじめた。
(顔洗おう……)
そう思い洗面台に向かうと、この洗面所の横にある露天風呂からバシャバシャと水の音がしている。
(え!?なんで!?昨日はちゃんとお湯抜いたはずなのに)
昨晩のこともあり恐怖に駆られている私は震える足を前へと進め、恐る恐る露天風呂の扉を開いた。
するとそこには──。
「司さん!」
今度こそは夢じゃないと信じ私はそのまま外へ駆け出した。
嬉しくてそのままお風呂に飛び込みたくなったけど、私は司さんの裸を見てハッとした。
耳が熱くなるのが分かる。
「び、びっくりしたー!」
司さんは本当に驚いた顔をし体を固まらせていた。
「びっくりしたじゃないですよ!夜の出来事が夢かと思ったじゃないですか!」
私の必死な訴えに司さんはいつもの優しい顔に戻りニコリと微笑んだ。
「いや、せっかくだから朝風呂でも、ってね。美咲は幸せそうな顔して寝てたし」
「え、嘘!本当にですか?」
確かに昨晩は司さんが側にいる幸せを感じながら眠っていた。なんだか、そう言われると恥ずかしくなる。
「ぼんやりしてないで美咲も浴衣脱いでこっちおいで」
「へ!?いや、でも、……」
司さんと一緒にお風呂に入るのは久しぶりすぎて胸のドキドキが尋常じゃなかった。
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