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―――2年前―――
高瀬智乃は他の新入生と同じく真新しい制服を着て門をくぐった。ただひとつ他の新入生と違ったことは、浮かない顔をしていたこと。入学してしばらくたっても浮かない表情は変わらなかった。
――高校なんて、どうでもいい――
星綾高校に入りたかったわけじゃない。ここしか入れなかったから仕方なく入っただけ。だから、高校なんてどうでもいい。部活なんか入る気も無かったし、早く3年間が過ぎて欲しかった。
――お母さん……私、3年間も頑張れそうにないよ――
――みんなと一緒にいたいよぉ――
――どうして私だけ一人なの?――
この頃の智乃は、いつも浮かない暗い表情をしていた。
「あの……高瀬さん…?」
そんな時に智乃に声を掛けてきたのは出席番号が1つ後ろの千葉穂浪。クラスなんかに興味が無かったから誰かなんて分からなかったけど。
「あ……あのね。今度のグループ学習の2人1組になるやつ、一緒に組まない?」
――はぁ?いきなり何?――
「私、まだ誰とも組んでなくて。もしも高瀬さんが良かったらでいいんだけど」
――まっ、誰でもいいか。でも――
「智乃」
「えっ?」
「その高瀬さんっていうの辞めようよ。何か堅苦しいから。だから智乃」
「あっ……うん。じゃあ私も穂浪で」
「宜しくね」
これが智乃と穂浪の出会いだった。
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